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カバードコールに魅せられて

Lethargic(無気力)なアセットアロケーション

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こんにちはダイスです。アセットアロケーションの論文を読んでいたら良さそうな内容のものを見つけたので、その論文紹介です。

金融のジャンルは様々な論文があるので、投資関連本を購入するくらいなら、論文を読んだほうが無料で有益な情報がありますのでおススメです。

Lethargic Asset Allocation (LAA)

Wouter J. Keller

Wouter氏はアムステルダム自由大学の名誉教授です。また資産運用会社Flex CapitalのCEOでもありました。

Wouter J. Keller氏が2019年に発表したLethargic(無気力)なアセットアロケーション(LAA)について紹介します。

twitter.com

ロジック概要

Wouter氏の考案したLAAは、経済指標とSPYの2つのトレンド判定により、通常と弱気のポートフォリオを切り替えるアセットアロケーションになります。

まず、ポートフォリオはA、Bの2種類に分けます。そのポートフォリオを弱気相場とそれ以外で使い分けて運用するというものです。

A)通常
リスク・ポートフォリオ

1、QQQ
2、IWD
3、GLD
4、IEF
(すべて25%配分)

B)弱気
キャッシュ・ポートフォリオ

1、SHY
2、IWD
3、GLD
4、IEF
(すべて25%配分)

弱気相場の判定方法
・失業率がSMA12(月足)より下
・SPYがSMA10(月足)より下

上記2つを満たしたら弱気相場として、ポートフォリオBに変更。それ以外はポートフォリオAで運用。

ベンチマークとの比較

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Growth-Trend Timing and 60-40 Variations: Lethargic Asset Allocation (LAA)より

「60-40」のパフォーマンスと比較しています。
※60-40というのは「60%:SPY」、「40%:IEF」です。これをベンチマークとして「LAA」と比較しています。

その結果、「LAA」は「60-40」よりドローダウンを低く抑えていて、その結果として収益も良くなりました。

考察

パフォーマンスをベンチマークと比較すると、資産の右肩上がりの角度はどちらもほぼ同じ。違いはドローダウンを低く抑えることにより、ベンチマークより資産が増えたということが分かります。

アセットアロケーションで大事なのは「資産配分比率」「リバランス」と言われています。

  • リバランスでドローダウンを低くすることができる。
  • 銘柄配分で収益が変わる。
  • 手数料の安い流動性のある商品に切り替える。
    ※流動性は価格の悪影響なしで、どれだけ楽に売買を可能かを測定する単位となり、ボラティリティが高い時に重要となります。

以上のことを踏まえて、リバランスは必ず行う。そして適当な時期を決めてリバランスを行うなら、何かのルールでリバランスしたほうが良いので、そのリバランスルールの一つとして、Lethargic(無気力)なアセットアロケーションのルールは参考にできるのではないでしょうか。

参考文献

Growth-Trend Timing and 60-40 Variations: Lethargic Asset Allocation (LAA)
Wouter J. Keller(VU University Amsterdam)
Date Written: December 4, 2019
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3498092

失業率(Unemployment Rate)
https://fred.stlouisfed.org/series/UNRATE

SPY(月足)データ
https://finance.yahoo.com/quote/SPY/history?p=SPY

ResearchGate
https://www.researchgate.net/profile/Wouter-J-Keller

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