マネーの公理 スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール マックス・ギュンター
第一の公理 リスクについて
心配は病気ではなく健康の証である。もし心配なことがないなら、十分なリスクをとっていないということだ
大多数を占める貧乏人クラスから這い上がる唯一の方法はリスクをとることである。
副公理1
いつも意味のある勝負に出ること
システムを打ち負かす唯一の方法は、勝負に出ることだ。負ければ破産するような金額を賭けろと言っているのではない。傷つくことを恐れていてはいけない、という意味である。少しでもいいから、心配になるような金額を賭けるのだ。
副公理2
分散投資の誘惑に負けないこと
分散投資はリスクを低減するが、金持ちになるという希望も同じくらい減少させる。
第二の公理 強欲について
この公理における強欲とは、過剰な欲望、常にもっと多く欲しがることを意味している。自分が当初望み、期待することが許された以上に臨むことを意味している。それは自分の欲望のコントロールを失うことを意味している。
常に少額を賭け、素早く降りる。強欲に支配されてはいけない。適当な利益が出たら、現金に換えて立ち去るのだ。立ち去ったことを後悔することもあるだろう。早めにやめるという決断が間違いだったとしても、長い目で見れば、自分の強欲をコントロールすることは、より大きな儲けにつながるのである。
副公理3
あらかじめどれだけの利益がほしいか決めておけ。そして、それを手に入れたら投機から手を引くのだ。
第三の公理 希望について
船が沈み始めたら祈るな。飛び込め。
アマチュアのギャンブラーは、カードが自分に有利になるように祈るが、プロはカードが自分に不利な場合に、どのように自分を救うかを学ぶ。これが、おそらくプロとアマの主な違いであり、プロがポーカーで生計をたてることができて、アマチュアがゲームをするたびにカモにされる理由が説明できる。
副公理4
小さな損失は人生の現実として甘んじて受けよ。大きな利益を待つ間には、何度かそういう経験をすると考えろ
第四の公理 予測について
人間の行動は予測できない。誰であれ、未来が分かると言う人を、たとえわずかでも信じてはいけない。
実際には誰も、来年、来週、あるいは明日何が起こるか、まったく分からないのである。あなたが投機家として成功したいのであれば、人の予想を聞く習慣から抜け出さなければならない。
第五の公理 パターンについて
カオスは、それが整然と見え始めない限り危険ではない
金持ちになるためのハウツー本を手にとってみるといい。これらの本はほとんどありのままを伝えようとしているのだろう。書いてある通りの方法で大金を積み上げたのだ。しかし、我々は著者の秩序の幻想のカモになってはいけない。著者は、自分が勝利の公式を見つけたので金持ちになったと信じている。しかし、事実は我々の方が良く知っている。単に幸運だったから金持ちになったのだ。
副公理5
歴史家の罠に気をつけろ
歴史は繰り返すというまったく根拠のない確信を基本にしている。このような確信を持つ人々は、歴史の秩序ある繰り返しが、特定の状況における正確な予測を可能にするということを命題として信じている。
副公理6
チャーチストの幻想に気をつけろ
チャートパターンはほとんど繰り返さないし、少なくとも予測可能な範囲において繰り返すことはない。
副公理7
相関と因果関係の妄想に気をつけろ
人間の心は秩序を求める。カオスを見るのが不快で、もし、現実から幻想に逃げてしまうことが満足のいく唯一の解決方法ならば、人はそうしてしまう。2つあるいは、それ以上の出来事が接近して起こるとき、我々は、それらの出来事が関連しているほうが心地良いので、複雑な偶然の関係を組み立てようとする。それは、大変危険なことだが、我々は通常、手遅れになるまで気づかない。
常にカオスを相手にしていることを理解して、物事を処理すべきだということを覚えておかなければならない。
お金の世界では、とても多くの人々が、必死になって秩序あるパターンを追い求めるので、ウォール街のような場所は常に、あれやこれやの因果関係を暗示するアイデアに満ちあふれている。それらの因果関係の中には、たいへんもっともらしく見えるものもあり、そう見えないものもある。それらはすべて、秩序を愛する人間の心にとって、ある種の魅力を放つ一方で、ある種の危険を内包している。
ジンクスに対してどう行動するかだが、何もしないのが正解だ。
副公理8
ギャンブラーの誤謬に気をつけろ
第2の公理で学んだように、数え切れないほどの投機家とギャンブラーが、勝ったままやめることができずに破産する。ギャンブラーの誤謬が、この失敗を助長している。
この公理は秩序が存在しないところに秩序を見つけるなと警告している。決して、有利な賭けや見込みのある投資を見つける望みを捨てるべきだと言っているのではない。むしろ、ポーカーや美術品など、自分が興味のある投機対象は徹底的に研究すべきであり、よく見えるものがあれば、最善をつくして賭けるべきだ。
第2の公理で学んだように、数え切れないほどの投機家とギャンブラーが、勝ったままやめることができずに破産する。ギャンブラーの誤謬が、この失敗を助長している。
第六の公理 機動力について
根を下ろしてはいけない。それは動きを遅らせる
副公理9
忠誠心やノスタルジーといった感情のせいで下落相場に捕まってはいけない。
副公理10
より魅力的なものが見えたら、ただちに投資を中断しなければならない。
第七の公理 直観について
直観は説明できるのであれば信頼できる。直観を感じたら、最初にすべきことは、その直観を生み出すほど巨大なデータの図書館が、あなたの心の中に存在しているかどうか、自問することである。
副公理11
直観と希望を混同するな
第八の公理 宗教とオカルトについて
宇宙に関する神の計画には、あなたを金持ちにすることは含まれていないようだ。
お金のことを思いながら祈るのであれば、あなたは貧しくなる可能性の方が高い。神や超自然の力、あるいは、ほかの誰かがあなたに富を与えてくれるのを当てにしようとすれば、あなたの警戒心はゆるみ、破滅に向かうことになるだろう。
副公理12
占星術が当たるのであれば、すべての占星術師は金持ちであろう。
副公理13
迷信を追い払う必要はない。適当な所に置くことができれば楽しめる。
第九の公理 楽観と悲観について
楽観は最高を期待することを意味し、自信は最悪に対処する術を知っていることを意味する。楽観のみで行動してはならない。
第十の公理 コンセンサスについて
大多数の意見は無視しろ。それはおそらく間違っている
デカルトが繰り返し言ったのは、ギャンブルに勝つ秘訣は、自分自身で納得するまで他人の意見を無視する、ということだ。自称専門家が主張する真実を疑い、大多数の意見を退けること。「たとえ識者と呼ばれるような人物が主張した真実であっても、別の誰かが反対のことを主張しなかったものはほとんどいない」と彼は書いた。
副公理14
投機の流行を追うな。往々にして、何かを買う最高のときは、誰もそれを望まないときである。
「私がこの決定を下すのは、それが賢い選択だからか、それとも皆が賢い選択だと言っているからなのか」と自問する
何かを買う最適なときは誰もそれを望んでいないときであるという考え方は正しいかもしれない。しかし、ただそれだけの理由で何も考えずに買うのは群衆とともに何も考えずに賭けることと同じくらい馬鹿げている。
第十一の公理 執着について
もし最初にうまくいかなければ、忘れろ
副公理15
難平買いで悪い投資を何とかしようとするな
第十二の公理 計画について
長期計画は、将来を管理できるという危険な革新を引き起こす。決して重きを置かないことが重要だ
お金に関する限り、あなたが必要な唯一の長期計画は、金持ちになろうとする意志だけだ。
私ができる唯一の準備と言えるようなものは、株式市場の勉強を続けることである。学ぶことと改善することを続けることだけである。
副公理16
長期投資を避けよ