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【要約】メガブレイン―脳の科学的鍛え方 マイケル ハッチソン

メガブレイン―脳の科学的鍛え方 マイケル ハッチソン

スーパーラーニング

ロザノフ法(加速学習)に欠くことができないのは、体と脳に同調リズムを引き起こす、深いリラックスです。全身をリラックスさせるため、気分が落ち着く音楽(ビバルディ、テレマン、ヘンデル、バッハといった、バロック音楽の作曲家による協奏曲のラルゴが好まれ、1分間に60拍程度のテンポが心拍や呼吸数とシンクロナイズする)を聴きながらくつろぎます。

神経伝達物質

脳内に最も豊富にある「神経化学物質」がアセチルコリンです。この物質の増加は記憶力を向上させ、脳のサイズの増大にも関連しています。また、不足すると記憶が失われ、学習能力や知能が低下することが明らかになっています。

アルツハイマー病に見られる記憶の喪失は、「脳のある部位にアセチルコリンが欠乏していることが原因の1つでは?」と言われ、そうした部位にアセチルコリンを注射(もしくはアセチルコリンの分泌促進剤を投与)すると、患者の記憶力は大きく向上します。

アセチルコリン・レベルが正常で健康な被験者に、脳のアセチルコリン量を高める物質を投与すると、記憶テストの成績が著しく向上します。逆にアセチルコリン・レベルを下げる薬剤を投与すると、学習能力が低下し、若い被験者たちに、老人と似通った記憶の喪失を引き起こしたのです。

意識を研ぎ澄ませるノルアドレナリン

別の神経伝達物質、ノルアドレナリンもまた、記憶や学習に重要な役割を果たします。アドレナリンの前駆物質である、ノルアドレナリンには、脳を覚醒させ、研ぎ澄まさせる効果があります。アンフェタミンという薬剤は構造がノルアドレナリンに似ており、ノルアドレナリンの効果を高める役割を脳内で果たします。

「アンフェタミン」、いわゆる「スピード」は長い間学生たちから、試験の一夜漬けに愛用されてきました。アンフェタミンを取り入れると、「精神が非常に明晰になり、大量の情報を理解、記憶できる」と学生たちは言います。多数の研究が、覚醒剤のこうした記憶向上効果は本物であることを示しています。

アンフェタミンに何ができたとしても、本物のノルアドレナリンのほうが効果的であることは間違いありません。脳のある部位のノルアドレナリン・レベルを向上させる実験では、記憶力および学習能力は向上しました。

電気刺激は神経伝達物質を急激に増加させる

別の神経伝達物質、グルタミン酸塩については、ほとんど研究が行われておらず、あまり多くのことが知られていません。しかし、カリフォルニア大学アーヴィン校、ガリー・リンチの研究では、グルタミン酸塩が記憶形成の鍵であることが指摘されています。

血脳関門を通り抜ける

普通の健康な被験者の、ノルアドレナリン、アセチルコリン等、神経伝達物質レベルが増大すると、「記憶」や「学習」といった様々な知的技能が著しく向上します。しかし、そうしたケースの大半は、被験者に薬物を経口で、あるいは注射で与えて、脳内の神経伝達物質レベルを上げていました。

その際の問題は「血脳関門」を通り抜ける必要があることです。この関門は、毛細血管の密集した茂みで「血流中の有害物質から脳組織を守るフィルター」として働きます。血流内に入る化学物質は、脳組織を通り、循環していますが、実際に毛細血管の迷路を抜けて脳組織内まで入れる化学化合物質はほとんどありません。したがって、薬物等の物質を経口で取り入れると、脳内部までたどり着ける物質はほとんどなくなります。

仮に薬物が脳内に1%入れたと仮定すると、残り99%は、体の他の部位に運ばれ、「副作用を引き起こす可能性」があります。ドライマウス、肝臓障害、心不全、癌などがその例です。

一方、電気刺激は、直接脳組織まで届き、血脳関門に左右されることがありません。したがって体の他の部位に、副作用を起こす恐れもなくなります。これらのことから、脳内の特定した神経伝達物質の合成を増進させ、「学習能力」や「記憶力」、その他「心的プロセス」を向上させる目的には、アルファ・スティムのような電気刺激機器を用いることが多くなっています。

モンローが考え出した画期的な手法「ヘミシンク」

経験を積んだ瞑想家たちEEGを調べた結果、深い瞑想状態において、脳波は一方の半球が優勢となった通常の非対称形から、両半球のシンクロナイゼーションと呼ばれる「脳全体が同じ周波数で一体化したバランスのとれた状態」に変化することが分かりました。

モンローはバイノーラルビートを聴かせて、意図的に「両半球がシンクロナイズ」を引き起こすことに成功しました。

ベータ波:意識の覚醒
アルファ波:リラクゼーション
デルタ波:深い眠り
シータ波:一番大事で意識と無意識の境目、記憶力や創造性を高める

科学者たちは、特定の脳波周波数は、予測可能な特定の精神状態を生み出すことに気づいていましたが、モンローによってバイノーラルビートを選択するだけで、希望する精神的状態を引き出せるようになりました。

薬の可能性と問題

薬物を使って意識を変化させることは可能です。薬物は、脳の化学的物質を実際に変化させます。次にその変化が、脳の電気活動を変えます。しかし、残念なことに薬物は、有害となりうる可能性のある合成物質です。また薬物が、血脳関門を打ち破って、私たちが効果を発揮させたい脳の特定部位だけピンポイントで到達させるのは、非常に困難です。むしろ薬物には、脳全体に及ぼす傾向があり様々な副作用を起こす可能性があります。

そのため薬よりは、私たち自身が生み出している神経化学物質を、自然な方法で刺激するテクニックのほうが望ましいです。

薬物の代わりに考えているのは「生体電気」です。生体電気は2段階で作用し、電気活動を外から変えることができます。その電気活動の変化は、次に脳内化学物質の生成を、あるいは体の化学組成を実際に変化させます。

また自然な方法の主な要素は刺激です。神経細胞は刺激を受けるようにできているのです。「経験」、「刺激」、「環境的影響」には、「有益な脳内化学物質の生成を促す力」があります。

ランニングやジョギングは脳に作用し、大量のエンドルフィンを生成させる力があると示す研究もたくさんあります。にっこりしたり楽しい気分で笑ったりするだけでも、いくつかの分泌レベルを押し上げることが示されています。